施工計画書(建築工事)について

4)施工計画書の提出期日について

a.総合施工計画書
・標準仕様書でも明確には記載されてないが、国土交通省発注工事の例を見ると契約日から1ヶ月以内というのが多く目に付く。
・施工者側としては、工事着手時はスタッフがまだ全員揃わず、しかも着工時には官庁関係の諸手続き、材料の発注、協力業者の選定、その他多くの業務が待ち構えている。
・工事の規模にもよるが、この時期1ヶ月以内に施工計画書をまとめるという作業はかなり厳しい。現場担当者が施工計画書作成に専念するには、本社に応援社員を要請したくなるのも無理はない。
b.工種別施工計画書
・原則として、各工種の着手前に監督員の承諾を得なければ着手出来ない。
・材料の調達や協力業者の手配等を少なくても着手の1週間前には行う必要がある。
・監督員のチェックに1週間程度見込むと、2週間前には提出しなければならな
い。

5)誰が作成するのか

a.総合施工計画書は、当然のことながら、工事の内容(現場)を一番よく知って
いる元請の現場担当者です。他の人では作成できません。
b.工種別施工計画書
・元請の現場担当者が作成すべきです。会社によっては、施工計画書を作成する部門もあるようですが、やはり現場を担当する者が、いろいろ悩み、考えながら作成することの方が大事です。結果、魂の入った施工計画書に優るものはありません。
・また、場合によって、協力業者に依頼(指示)することもありますが、それは協力業者が元請に提出する「施工要領書」というものです。元請業者はこれを基に自社の方針、考え方等を盛り込み、元請の立場で「工種別施工計画書」として発注者(監督員)に提出することはあります。この場合、協力業者から出てきたものをそのまま右から左へと発注者(監督員)に提出してしまうケースもあるようなので注意がすべきです。
・協力業者が作成する「施工要領書」は、自分たちの守備範囲の工種のみについて、取引のある数社の、どの元請に当てはまるような、個々の現場の条件に対応したものではないことが多く見受けられます。これは改めさせなくてはなりません。

6)施工計画書に必要な項目

a.総合施工計画書

工事概要 発注者、工事名、工事場所、工期、監理者、請負金額、建物規模、その他
現場組織表 工事施工体制、品質管理体制、業務分担など
全体工程表 実施工程表、出来高工程、月間工程表
施工管理計画 材料検査、品質管理方法など
安全管理計画 災害防止計画、各種安全行事、安全協議会の実施
交通安全対策 交通安全対策、工事車輌の規制など
環境対策 近隣対策、公害対策(震動・騒音、粉塵、汚泥)
産業廃棄物処理方法 建設副産物の減量化、処理方法など
緊急連絡先 事故発生時の連絡方法、自然災害時の対策など
総合仮設計画図 仮門、仮囲、仮設建物、搬入路、足場計画、揚重計画、工事用電力、給排水など
指定仮設 手すり先行工法などが指定されている場合は、使用する資機材の仕様および施工方法

b.工種別施工計画書

総 則 適用範囲、適用図書、変更・疑義など
施工組織 工種毎の施工組織、協力業者含む
作業工程 工種毎の工程計画、工区割など
施工数量 施工数量、歩掛り、投入人員
使用材料 仕様、規格、数量など
工法 工法の選択理由、工法の概要
使用機材 使用する機械工具、荷揚げ機械
施工方法 具体的施工方法、施工手順
品質管理 材料検査、養生方法、試験方法、工事写真、工程内検査等

 

7)作成手順

1)設計図書の把握
2)現場および周辺の状況把握
3)疑問点や施工方針など監督員(監理者)との協議
4)設計意図の理解
5)過去に経験した類似工事のひな形を整理
・現場担当者が資料を持ち合わせてないときは、会社に要請し会社として対応してもらう。
6)現場の条件に合致するようひな形を修正、加筆
7)作成した施工計画書は、のちの工事に役立つよう「ひな形」として整備しておく。

8)作成上の留意点

1)工事規模、会社の規模に見合ったグレード(内容およびページ数等)を心がける。

2)きれい事を並べても、実施できなければ、検査の時に不都合が生じるので確実に実施出来る範囲のことを記述する。

3)最低でも設計図書の条件、仕様はクリアしなければなりませんが、VE提案や、同等品承諾願い等も視野に入れるのもひとつの方法かと思います。

4)また、監督員から付箋だらけの計画書が戻ってくるようでは、技術的信用を失い、会社の評価にもつながりますので注意が必要です。

5)施工計画書を早めに作成することはむずかしいことですが、早くできれば「手戻り」をなくすことが可能です。施工図と同様に施工前に机の上、頭の中でシュミレーションすることになりますので、無理や不具合などが発見しやすくなります。
6)丁寧語は使わなくてよい。

×
○○○○を使用します。 ○○○○を使用する。
○○○○で行うこと。 ○○○○で行う。
△△△の場合は○○○○を使用することが望ましい。 △△△の場合は○○○○を使用する。
◇◇◇◇の場合は監督職員と協議します。 ◇◇◇◇の場合は監督員と協議する。

◇◇◇◇の場合は監督官と協議する。

・施工計画書は他人のためではなく、自分たちのために作るもの。
・「監督職員」とは、同じ組織のものが、外部の者に対して使う言葉だと思います。
受注者(施工者)からは「監督員」または「監督官」ではないかと思いますが、いかがでしょうか...

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